私たちが家庭でできるCO2排出量削減の代表的なアクションといえば「省エネ」。特に、最新の家電は省エネ化が進んでいるため、古い家電から買い替えることで電気の使用量を大幅に抑えるとともに、生活もより快適にアップデートできる可能性があります。

この記事では、省エネ家電のメリットや買い替えのために世田谷区民が利用できる補助金制度について、区内の家電量販店「コジマ×ビックカメラ 成城店」の店長・伊瀬淳二さんに詳しく解説してもらいました。

※この記事で紹介している情報は取材した2025年11月時点のものです

コジマ×ビックカメラ 成城店

2011年11月のオープン以来、家電製品はもちろん自転車や玩具など地元ファミリー客を中心とした幅広い世代のニーズに応える商品を展開している。
住所:東京都世田谷区成城1-3-1

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そもそも「省エネ家電」って? 電気代の節約だけじゃない、買い替えのメリット

そもそも「省エネ家電」とはどのようなものを指すのでしょうか。メリットとともに説明してもらいました。

伊瀬さん 「『省エネ家電』とは、エネルギー効率の高い家電のことです(※1)。省エネ意識の高まりや技術の進歩により、家電のエネルギー効率は年々向上しています。
そうした省エネ家電に買い替えることのメリットとしてまず挙げられるのが、電気代の節約。電気代が高騰している昨今、家計への影響を和らげることができるのは大きな魅力です。

また、家電製品そのものの利便性や性能も向上しているため、最新の省エネ家電に買い替えることで生活の快適性もアップします。例えば、エアコンであればインターネットに接続することで帰宅前に部屋を適温に整えるように操作ができたり、換気機能を搭載していれば、窓を開けることなく換気ができたり、おうち時間がより快適になります。

近年では、省エネ家電への買い替えを促すため、国や自治体が対象製品の購入に補助制度を設けていることから、お店でも省エネ家電を購入する方は増えています。中でもエアコンや冷蔵庫、照明器具といった製品が人気ですね」

※1 出典:環境省「デコ活サイト/省エネ家電

家電量販店の店長に聞いた、節電効果の高い省エネ家電とは?

さまざまなメリットのある省エネ家電への買い替えですが、節電効果の高い製品にはどのようなものがあるのでしょうか。

伊瀬さん 「特に節電効果が高いものは、運転時の電力消費の大きい家電や常時電源が入っていたり長い時間稼働していたりする家電です。例えば、エアコンはスイッチを入れた際に、室温を設定温度に近づけるために冷やしたり温めたりとパワフルに稼働し、電力を大きく消費します。また、近年は猛暑のため夜間でも電源オンにしている方やリモートワークで在宅時間が長い方が増えているため、稼働時間が長くなる傾向にあります。

常時電源の入っている家電としては冷蔵庫が挙げられます。照明器具も稼働時間が比較的長い製品です。また、テレビや温水便座などは使用していなくても電源につないでいることで待機電力が発生しています。こうした製品は省エネ家電に買い替えることで、高い効果が得られるでしょう」

15年前の製品と比べると、電気代はどのくらい変わる?

では省エネ家電に買い替えることで、実際にどのくらい電気代が節約できるのでしょうか。節電効果の高い家電を例に、15年前の製品と比較してみましょう(※2)。

伊瀬さん 「例えばエアコン(冷房能力2.8kW)の場合、2009年の製品と2024年の製品で比較すると年間消費電力量は211kWhの省エネとなります。これは年間の電気代に置き替えると、約7,152円お得になる計算です。

冷蔵庫(401L〜450L:4人家族相当)の場合は、2014年と2024年の製品で比較すると年間消費電力量は241〜301 kWhの省エネに。年間の電気代に置き替えると約8,170〜10,240円お得になる計算です」

※2 出典:東京都「家庭の省エネハンドブック2025年度版

省エネ家電選びは「省エネラベル」に注目!

このように、大きな節電効果が期待できる省エネ家電ですが、実際に家電量販店で省エネ家電を購入する場合、どのように製品を選べばよいのでしょうか。

伊瀬さん 「一つの目安となるのが、製品の省エネ性能が一目で分かる『小売事業者表示制度(統一省エネラベル等)』です。『エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)』によって定められた省エネ基準を達成しているか等の省エネ性能を、小売事業者が分かりやすくラベルで表示しています(※3)」 

統一省エネラベルを見るときは、以下の3つをチェックしましょう。

ポイント1:星マークによる「多段階評価点」
市場における製品の省エネ性能の高い順に5.0から1.0までの41段階で評価しています。三つ星以上が省エネ家電の一つの指標です。

ポイント2:「省エネ基準達成率」と「省エネ性マーク」
「省エネ基準達成率」は、機器区分ごとに定められた省エネ基準をどの程度達成しているかを表示します。省エネ基準の達成率が100%以上の場合は「e」の「省エネ性マーク」が緑色、100%未満の場合はオレンジ色なので、まずは緑色のマークを選び、その上で達成率を比較するとよいでしょう。

ポイント3:「年間目安エネルギー料金」
製品を1年間使用した場合の目安電気料金を示します。「年間目安エネルギー料金」は、例えば冷蔵庫であれば容量や性能などによって異なるため、「多段階評価点」と「省エネ基準達成率」などと併せて製品選びの参考にしましょう。

伊瀬さん 「そのほかの購入時のポイントとして、ライフスタイルに合わせたサイズや性能の製品を選ぶことも大切です。エアコンであれば使う部屋の広さや建物の構造、冷蔵庫であれば家族の人数や設置場所、使い方なども考えて、最適な製品を選ぶことがおすすめです」

※3 経済産業省資源エネルギー庁「エネルギーの『これまで』と『これから』/統一省エネラベルが変わりました

東京ゼロエミポイントを活用して、お得に省エネ家電へ買い替えよう

ここからは、省エネ家電をお得に購入できる仕組みを紹介します。

国や自治体では、省エネ家電への買い替えの際に、対象製品に補助金を交付している場合があります。東京都では現在「家庭のゼロエミッション行動推進事業」として、都内の住宅に設置済みのエアコン、冷蔵庫、給湯器、照明器具を省エネ性能の高い新品の対象家電に買い替えた都民に対して、「東京ゼロエミポイント」を付与しています。事業の対象となる家電は一定の省エネ基準性能が設けられており、対象となる販売店は、登録された事業者(販売店)のみなどいくつかの注意事項がありますが、制度を利用すればお得に省エネ家電への買い替えが可能です(※4)。

東京ゼロエミポイントは、以前はポイントを商品券などに交換する形式でしたが、2024年10月から購入時の東京ゼロエミポイント相当分を直接値引き対応するようになりました。ゼロエミポイントを使って、製品を購入するときの流れを解説します。また、伊勢さんからは実際に制度を利用する際の注意点を教えてもらいました。

1.お店で購入商品を選ぶ
まずは、登録販売店で購入したい商品を選びます。対象となる販売店や商品、ポイント交付の対象となる販売期間については、予め東京ゼロエミポイントの公式サイトで、必要書類や写真とともに確認しておくとスムーズです。東京都内のコジマ×ビックカメラも、もちろん登録販売店です。

伊瀬さん「店内には目印となるようなチラシの設置など、対象商品が分かるように表示をしていますが、もし店頭の商品のどれが対象か不明な場合は、販売員に気軽にお申し付けください」

2.設置先の住所や届け日などを記入し、伝票を作成する
商品が決まったら、設置先の住所やお届け日を確認して伝票を作成します。交付申請には、販売店とお客さまとの間で、共同事業実施規約の締結と提出が必要となるため、必要書類に記入いただきます。

なお、東京ゼロエミポイントは、都内に住所を有する個人の方、購入した対象家電製品等を都内の住宅に設置する方等が適用条件です。

3.ポイント分が値引きされた金額を店頭で支払う
ポイント分が値引きされた商品代金を店頭で支払います。申請は店舗が行ってくれるので、購入する人が特別な手続きをする必要はありません。

【ポイント】写真の撮り方に注意!
伊瀬さん「申請自体は店舗が行いますが、購入者は住所が分かる身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証等)や、長期使用家電からの買い替えであれば、買い替え前の家電の製造年がわかる写真や住宅内に設置した状態の写真の提出が必要になります。特に住宅内に設置した状態の写真は、ご来店いただいたお客さまの中でも撮り直しになるケースが多いです。屋内で使用していることがきちんと分かるよう広めの画角で撮影しましょう。詳しくは、こちらも東京ゼロエミポイントの公式サイトをご確認ください」

※4 対象家電や店舗、ポイント交付の対象となる販売期間等の注意事項は、東京ゼロエミポイント公式サイトでご確認ください

65歳以上の方がエアコンを購入する場合は8万円の割引も

さらに東京都では、近年の猛暑の状況等を踏まえ、室内での熱中症リスクの高い、高齢者や障害のある方へのエアコン購入のため、2025年8月30日から東京ゼロエミポイントの支援を拡大しました。これは、購入時点で満65歳以上または障害者手帳を持つ都民を対象にしたもので、省エネラベルの「多段階評価点」で星3つ以上等の省エネ性能のエアコンを購入すると、一律80,000ポイントが付与されます。つまり80,000円分の割引が受けられるのです。

伊瀬さん「やはり80,000円値引きというインパクトは大きく、8月の支援拡大時には予想を上回る多くのお客さまが来店されました。ただ、こうした制度を知らない高齢者の方もまだたくさんいらっしゃると思います。高齢者の方は今使っている製品が壊れない限り使い続ける方も多いと思うのですが、10年前、15年前の製品であれば買い替えると電気代は大幅に安くなりますし、東京ゼロエミポイントを利用すれば、大変お買い得に購入できます。以前より手続きも簡単になっているので、来年の夏に備える意味でもぜひ検討いただきたいですね。インターネットで情報を確認するのが難しい場合は、ぜひ販売員に相談に来てください」

脱炭素化には、省エネ家電への買い替えも有効な手段

家庭で使用されている電気エネルギーの半分以上は、家電製品によるものと言われている中、脱炭素化社会の実現に家電の省エネ化は欠かせません。

「東京ゼロエミポイント」のような制度を上手に活用すれば、お得に省エネ家電へ買い替えることが可能です。「電気代を節約したい」「もっとおうち時間を快適にしたい」と考えている方は、この機会に買い替えを検討してみてもいいかもしれません。

まずは小さな一歩から、大きな流れを、“うちから”一緒につくっていきませんか。

世田谷区の東京ゼロエミポイント登録販売店はこちら
世田谷区の東京ゼミエミポイント登録販売店(公表を希望する事業者のみ)は、2025年12月現在約149件あり、詳細は東京ゼロエミポイントのサイト確認できます。随時更新されているため、最新のデータをご確認ください。